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先日のブログの続きである。新神戸駅はきわめて特異な立地にある。どちらから進入してもトンネルを出ると駅がある。山の中の駅なのである。駅の北側が森だ。いつ行ってもこの森が気になる。見下ろすと渓谷である。流れが見える。。ほかの新幹線駅にない豊かさを見る。豊かな緑が光を受けて輝いている。神戸の入り口としてもっとこの立地を楽しい場所として生かせないか、そう思う。北の小さな平地に出られたら気持ちがいいだろうと思う。その割に建屋があまりにも素っ気ない。というか場違いなのだ。立地の特性、豊かさを全く考えていない。光の当たるそこに行きたいと思うが、かなわない。できの悪い工場のようなシェルターがそこにある。インダストリアルなそれであるのが悪いのではない、作為のなさが無神経なのだ。まあ、新幹線の駅の大方がそんなものではある。ただ新神戸駅は周辺のポテンシャルを取り込むと見違えるようになることが間違いがない。そんなことを思いながら駅周辺の徳光院、大工道具館をさまよったのだ。これらをもっと使えるのではないか。南のANAの閑散としたホテルコンプレックスのエスカレーターの駅に上るルート、これも利便としては意味がないわけではなかろう。ここが全く閑散としている、商業的に破綻していることがツーリストに見える。それがもたらす寂しさは神戸という都市にとりきわめて大きな負ではないかと思う。ここを含み領域を考えるべきであろう。老婆心ながら。
神戸入り口としての新神戸駅、駅舎のポテンシャルを生かした新たな都市計画、改修を是非お願いしたい。 ▲
by noz1969
| 2014-12-31 20:03
| 日記
鹿児島行きの格安航空機の機内でRegionという地域誌をもらったのだが、そこに川崎正蔵という明治期鹿児島出身の人のことがあった。40を過ぎ、川崎造船をつくった人、という記事。今に続くコンツェルン、川崎重工業の創始者である。貧農の出、奉公からの立志伝中のひとであるという。先日神戸への所用があり調べていると この川崎正蔵の自ら建立の菩提寺に彼の自邸の庭にあった多宝塔があるとの情報を得た。重要文化財。何かの縁、と思い訪ねた。場所は新神戸の駅裏すぐ、といってよいところ。といってもいささか急峻な山道を行く。そこに目指す寺、徳光院はあった。川崎さんは造船所を今の京浜工業地帯の川崎とここ神戸に作ったという。大変な美術収集なども彼の後半生にあったが景気の波の中で散逸したという。廃寺の塔が彼の庭に解体移築されそれがここ彼の菩提寺に移されたということのようだ。彼の希望であったのだろう。原三渓のことなど ほぼ同時代、明治の起業家のひとびとの共通するところを思う。
目的はこれも新神戸駅そばの新「竹中大工道具館」にもあった。年末の28日に閉じる日韓中の大工についての企画展示が見たかったのと、新装なった館の様子それからその展示に興味があった。企画展は面白かった。当然ルーツを同じくする三カ国の技術の変遷とその違い、また共通するところが展示の眼目。ここでは島国日本の特異点が強調された展示のように見える。ただこれが宮殿、寺院などの「高級建築」に特化したものであることを思いながら、もっとこのテーマを民家などにまで普遍できたら面白かろう、と考えた。この特徴ある博物館の学芸員、彼らのこれからの活動を期待したい。 常設展、竹中の大工道具収集そしてその展示も名人上手についてのものになる。鑿、鉋、などこれらがきわめて鋭利な刃物であるが故、ほとんど名刀の面持ちで展示されているのがすごい。すごいだろう!といった風情。これはこれで本当にすごかった。展示もきれいすぎるほどきれい。 翌日 なんとなく相楽園に行く。ご存じだろうか、舟屋形(重文)という見たことのないものに惹かれて。相楽園は旧小寺家の屋敷跡。いまは市が管理している。小寺さんは江戸期この地の領主三田藩、その3人の家老?の一人らしい。公選後の最初の市長はこの末裔という。和風庭園の中 明治末期に建設されたハーフティンバーの本格的洋館がある。これが馬小屋(重文)。驚く。旧ハッサム邸(これも重文)が移築され保存されている。阪神大震災で崩れたレンガの煙突が庭に転がっている。クスノキの巨木、白松の巨木がある。白松は初めて見た。中国を原産地とするという。仙台のあの最中「白松が最中」私の大好物、を思い出す。舟屋形はもともと姫路藩主の舟屋形、舟遊びのための船、その上部が改造され茶室として使われていたものということだが、漆と金箔。牛尾さんのコレクションが寄贈された、と聞いた。メンテナンスが大変だろう。小屋の中にでも置くほうがよいのでは、と余計なお世話。何とも知らないものがまだまだたくさんある。 この小寺さんら3人の家老?のもう一人が松方さんらしい。先の川崎さんと松方さんの末裔が親戚であるということも知る。そしてあの松方コレクションの松方さんの先代であるrしい。何ともあの時代の人脈は狭い。 芦屋は言うまでもないが山邑邸の見物。加地邸と同時期に遠藤新が手掛けている。こちらは言わずと知れたフランクロイドライト手ずからのデザイン。たしか伏見の酒蔵の主が建てた別邸ということだが RC、斜面に沿うように建つ。詳細なディテール、オーナメントにちょっと驚愕。特に食堂のインテリアには驚愕。この時代の手間のかけ方と今日の手間を比するとあれが「建築」であり、こちらはただの建物であるのかもしれない。口が滑るが建物でもなく建屋かも。実は初めての訪問である。重文。修復はきわめて丁重。ただ 家具が違う。 ▲
by noz1969
| 2014-12-29 17:15
| 日記
金曜と土曜 鹿児島と熊本であった。鹿児島はNEDOの実証実験住宅の現場の確認、太陽熱によって冷却を試みるほか、いくつかの新技術の試みを行う。鹿児島は言うまでも無く櫻島のそびえる地。夕日を受けて赤い山は少しではあるが噴煙を上げている。昨今のあちこちでの地震や噴火を思いながらそれに見とれる。
翌日熊本。阿蘇の外輪山の長く連なる風景はここだけの壮大な景色である。この景観はこの山が昔きわめて巨大であったことをあらためて思わせる。山の一箇所からまたしても噴煙が立つ。阿蘇の数万年に一度の噴火のことが新聞紙上に書かれていたことを思い出す。 熊本は三加和の小学校の「木の建築賞」現地審査への立会いである。もうひとつの候補である史跡鞠智(きくち)城にたつ休憩所にも立ち寄った。7世紀の建築を今日再現するという興味深い試みである。これは復元ではなく古建築の創作?である。この史跡は白村江の戦いの折の後方基地として築かれた山城であり、史跡として整備されている。掘立柱や、礎石を元に再現された建物が面白い。穴と石だけを頼りに上部を作り出す復元をみていると誰もがなにか一言言いたくなる。 三加和は室温安定。小学校だけに玄関の扉は開けっ放しであるのだが室温16度ほどを保っている。晴天の日の未明の冷え込みは零下5度ほどにまで低下している、20度近い温度差を保っていることになる。体育館も同様室温16度である。 ▲
by noz1969
| 2014-12-22 13:56
| 日記
国宝展 最終日の前日土曜夕刻 覚悟の上での東京国立博物館。通称「東博」。30分待ちは予想よりは短かった。が、中の人の数は予想通り、大変な混雑であった。確かに国宝を各地から集結させるという企画は人を呼ぶ。なんだなんだ、といった風情がある。一度にこんなにおいしいことってめったに無い!ブランドバーゲンセールに駆けつけるといった心地さえある。
私のお目当ては「元興寺極楽坊の五重塔」であった。元興寺には何度か行っている。が肝心の収蔵庫に出入りしたことが無い。というか、収蔵庫の存在を知らなかった。何よりこの五重塔についてはまったく知らなかった。現地に行けば いつでもば見られるのであろうけれど?何とかここ「東博」での晴れ姿をみてみたい、と思い出向いた。実物は高さ5、5メートルほど。実に良くに出来た塔であった。各地に作られる塔のモデルとして作られたらしいのではないか、とのこと。人ごみは塔を見るにはそれほど邪魔にはならず、ゆっくり鑑賞した。 元興寺極楽坊には懐かしい思いがある。学生時代の旅行で吉村順三さんからこの建築について話を聞きながら観たことが印象に残るのである。一本の溝に走る二本の障子のディテール。行基葺、先が細い筒状の瓦の屋根のこと、荒々しい床板のことなどである。次回は現地で五重塔と再会したい。ところでこの収蔵庫は公開しているのであろうか? ▲
by noz1969
| 2014-12-08 12:13
| 日記
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