土木遺産

土木学会が80年を記念して出版した「人は何を築いてきたか」山海堂は1995年の出版であった。この本によって様々な景観が様々に人の手によっていることをあらためて知り 各地の地勢の様々な違いすら知る。名著である。旅行の折に近傍の遺構を探し立ち寄ることをしたこともある。だが調べたところ既に絶版のようだ。昨日書店で同様の主題のもっとポピュラーな本を見つけた。「なるほど知図帳 世界に誇る 日本の建造物 現代日本を創ったビッグプロジェクト」というびっくりするほど長いタイトルのムックである。出版は地図系の書籍で著名な昭文社である。タイトルのにぎやかさに比べ内容の充実度は感嘆に値するもの。対象は橋、ダム、トンネル、治水、炭鉱などの産業遺構、軍事関連の遺構という六つのジャンル。 それらの全国の主要な事例を写真、データつきで網羅、もちろん昭文社だけに所在地のわかる地図がついている。奥付を見ると西山芳一さんと言うカメラマンひとりの撮影と執筆。埼玉大土木のの窪田陽一さんが監修と概要の執筆をしていらっしゃる。ちなみに1995年のの出版の取りまとめも窪田先生であった。今回掲載された事例は総数400に近い。西山さんは造形大を出た写真家とのことだがこの集積はすごい。大変な業績である。どれほど日本中を歩かれたのだろうか。それにこれ等事例の多くは山間など訪ねることの難しい地域にある。おそらく窪田先生も全事例を見てはいらっしゃらないのではないか。

今回のムックは前書に比べ格段に出版部数も大きいのだろう。価格は前回出版の半分以下、2100円である。こうしたものへの一般の興味が10年前に比し格段に大きなものになっている証でもあるのだろう。景観の保全の一助に必ずなるに違いない。

http://www.mapple.co.jp/publ/naruhodo_k.html
by noz1969 | 2008-01-28 13:10 | 本・DVD
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