板金屋さんの仕事がとてもいい。錺職人の伝統。最近は既成のもので作業をすることが多い、ということだが、今回の改修では鈴木工務店の板金屋、岩井さんの技を見せてもらった。70を超えた親父さんと息子さんのチーム。左官、大工などに隠れてあまり話題にされないが薄板鉄板の仕事の伝統との関係は面白そう。江戸の銅版の加工技術が看板建築につながるということを聞いた記憶がある。十数年前オーエムをハンガリーに、という話の中でかの国には0.4ミリの鉄板がない、という事態に立ち至りびっくりしたことを思い出す。どこにでもあると思えるようなごく普通に見える、技術、材料が実は地域が培ったものであったりする。板金屋が樋を作る、そうした豊かさが残ることぐらいの余裕があっていいだろう。既成品は不自由である。継ぎ手だらけであちこちにクランクすることを我慢したくはない。(野沢)