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五日市の住宅

二階建てを平屋に減築、壁を撤去、現れた木摺りだけの裸の姿が妙に印象的であった。その後木製の建具が入り、地場産の杉丸太を軒桁と柱とした一間幅の「軒庇」が三方にぐるりと廻った。伝統的和風。こうした仕事は当事者でありながらなんともまぶしい。秋山棟梁が「戸袋を作るのは二十数年ぶりである」という。天井の納まり、ふすまの唐紙、欄間の格子、壁の色、様々な要素に薀蓄がある。幾分は知っているつもりではあるが、その多くは深い記憶の引き出しのなかから埃を払いながら引っ張り出すというものだ。秋山とのやり取りもいつもとは異なり不思議にゆったりとしたものになる。若い大工、若い建築家にこうした仕事を何とか見てもらいたいものだと思いながら、私と秋山の薀蓄は本当のものであるのであろうか、との思いが過ぎらないわけではない。ここがなんとも面白く難しい。自在に思いのまま何をしても本当は良いのではあるのだろうが。担当の石黒の顔を見ながら呻吟する。幅1,5間引込の大型の木製建具はこうした建築には通常無いものだ。オーエム装備、新機軸がないわけではなく、全くの新築ではない。既存の条件の中で何が面白く出来上がるか、正念場。このあと離れの風呂場にかかる。その後庭、塀、植栽などもある。
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by noz1969 | 2013-07-26 12:53 | プロジェクト

野尻湖へ

6月末の週末、久しぶりに事務所スタッフ家族と息抜き。担当者のほかは初となる竣工間もない「蓼科の週末住宅」訪問の足を野尻湖に伸ばした。旧野尻湖プリンスホテル。今は「野尻湖ホテル・エルボスコ」という。いくつかのホテルを運営するシンジケートが数年前から経営しているようだ。清家清設計。今回の企画はなんとなく渡辺力が昨年亡くなられたことと関連した思いつきであった。館内はいくつか手を入れているようであるがほぼ竣工のままといっていいしつらえ。渡辺さんの家具ももちろん健在。良好に保持されている。運用も手厚い。今の所有者のほうがプリンス時代に増してレベルが高いのではないか。ここに来るのは初めてではあるが昔のプリンスの一律で退屈な運用を苦く思い出す。
客室は一本の廊下から上下階にある。その廊下は緩やかに曲がりくねり見通しを嫌う。主要な架構は鉄骨、全て溶接による。レンガ壁がそこに納まる。その鈍角のコーナーにディテール。大きな開口部が野尻湖を一望する。モダニズム時代の典型的手法、そのきわめて良質なものと思える。ただし今日の宿題とは幾分異なるのであろう。大きな結露受け、ぼんやりと輻射を感じるガラス窓など。昭和59年竣工の銘板が玄関脇に埋め込まれていた。そこに堤義明とあった。つわものどもの夢のあと。
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by noz1969 | 2013-07-09 14:22 | 日記