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「森のめぐみ」

私が粗忽であったからである。「森のめぐみ」を知らなかった。奥付によると1975年に出版されている。ちくま少年図書館というシリーズの28巻。思えば、ちくまは今も少年層への出版に熱心な出版社だ。35年前、私がだいたい30歳前後のころ、著者は山本学治、私の大学時代の先生である。学治は77年に亡くなった。その2年前の出版だ。これが最後の著作であろう。それを知らないのだからいかにそのころの私がぼーっとしていたかが知れる。知らないのであるからもちろん手元にこの本が、あるわけはなくアマゾンの古書のルートで入手し30年後れてやっと読むこととなった。
きっかけは三井所さんとの雑談であった。湯豆腐の桶、その贅沢な体験が三井所さんにこの本を思い出させたと言うのだ。案の定 本書には嵐山の吉兆(であろう)での湯豆腐体験のこととこの湯豆腐の桶のカラー写真があった。
内容は日本の木造建築の特長から様々な木製品に至り、われわれと森のかかわりについてその特性を説くもの。少年には少し難しいのではないか、と思うほどの内容の濃い、学治らしい熱いメッセージにあふれたものであり、まさに今読み直すに時機を得たものであった。
私が学生であったころの学治を思い出しながら読んだ。
ちょっとしたきっかけ、雑談といっていい会話から本を手にすることが多くあった青年期のことと同じことを久しぶりにした、と言う感慨を持った。人と会話を楽しむことの意味と刺激を再確認した小さな「事件」であった。
by noz1969 | 2011-01-29 19:15 | 日記

大高正人さんを偲ぶ会

昨日は昨年の秋から準備を重ねた「大高正人さんを偲ぶ会」が開かれる日であった。東京は快晴だったが寒風、一月らしい気候。田町の建築会館に300人を超えるかと思われる人々が参集した。会場正面に初台の事務所の机の大高さんの写真がある。開会。世話人代表藤本昌也が大高さんの業績を話す。発起人代表の川添さん、菊竹さん、槙さんの弔辞が続く。其の後、シューベルトの冬の旅が流れる中、参会者全員が献花を行った。大高さんはこの歌曲全曲を歌うことができたという。その後第二部となり会食、発起人の内田祥哉さんの献杯があった。
大高さんには大変世話になった。また多くのことを教わった。一昨年の暮れまでは大変元気であった。昨年に入り急激に体調を崩されたのだろう。その後、われわれと会うことを避けておられるようであった。そして夏のさなか、亡くなられてしまった。ご自身の意向もあり葬儀が身内だけで行われ、今回の「偲ぶ会」の知らせでこのことが初めて公になることとなった。驚かれた人も多かっただろう。
都市と建築を緊密に繫がったものとして考えたこと、農村のことを極めておおきな宿題としていたこと、など大高さんの仕事の「独創」はほかの人によって代わることができないものであった。福島県三春にうまれ育った彼がふるさとと祖父の大きな影響下にあったことなど何度も聞かされたことだ。農村への思いは風景への思いにも繫がろう。肝に銘じたいと思う。
心から冥福を祈りたい。
by noz1969 | 2011-01-11 14:20 | 日記

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
穏やかな関東ですが、各地の豪雪、悪天候のニュースを聞き一昔前、上野文化会館前に張られた国鉄の大きなテントを思い出しました。帰省の客は列車ごとにテントで順をまち、駅員に案内されながら時刻にあわせ列を作りプラットホームに向かう、そんな光景でした。東北、北陸への帰省客の数は今日の帰省客の比では無かったのでしょう。郷里を離れ東京で暮らす人のほかに、農閑期ごとに郷里を離れ仕事につく「出稼ぎ」の人々が多くあったのですから。その汽車が「新潟の手前で大雪により時折立ち往生した」と言うニュースもありました。このことも今年は久しぶりに思い出しました。珍しく山陰で同じようなことがあったからです。半世紀があっという間に過ぎました。元気の出ないことが多く報じられますが、当時のことを思い出しますといかにも異なる世界に私たちは居ます。
大分以前のことですが「キューポラのある街」を偶然TVで見たことがあります。予想を超えた暗い画面でした。そして、そこに写る鋳物の街川口の風景は今日まったく面影を探しえないものでした。バラックのような家々と土のみち、仕事を失った父とその娘、弟、北朝鮮に帰る弟の友人、送る人たち。半世紀前浦山桐郎が描いた事象はは間違いなく今の時代につながっていました。ただ風景はまったく異なるものになっていました。
急速に変化する中、今立っている位置を立ち止まり確認し深く考えることの大事さを考えます。おぼつかないのですが冷静のそれをしなければならない、と思うのです。
今年を少しでのそうしたことのできる年にしたい、と思います。
本年もよろしくお願いします。
by noz1969 | 2011-01-03 17:47 | 日記