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アーキニアリングデザイン展

建築学会で上記展示が28日まで開かれていた。私が参加した今秋の建築学会大会での同名のシンポジウムももちろんこの企画と連動するものであった。エンジニアリングと建築の良き連携、川口衛氏はシンポジウムの中でホリスティックデザインといい、全体のバランスの取れたデザインを思考すべきであることをこの言葉に込めていた。私は席上「レス イズ モア」の拡大解釈、レスとモアを求めることが産業革命以降の試行錯誤、目標であったこと、そして科学はその根拠としての実績を持つこと、環境を大きな宿題とするこれからにおいても継続的連続的に思考することが可能であるはず、と話した。そのこともあり、会期終了間際であったが会場を訪ねた。多くの模型、図面、写真、スケッチなどにより建築の「構築」の面白さが理解しやすい形で展観されていた。特にその原理を解説する工夫に満ちた展示はわかりやすいものであった。もちろん構造計画と建築計画のかかわりが展示の主体を占めてはいるが新しく展開するはずの分野についての展示もある。模型の制作のかかわった学生にとってとてもよい経験であったのではないだろうか。手を動かし作ることは見ることより一層の思索になるからだ。ところでこれ等の資料は今後どのように活用されるのだろう?建築会館は入り口の銘板の下に「建築博物館」というもうひとつの銘板を持つ。是非こうした資料の収集管理をその仕事のひとつとしてほしいものと思う。
by noz1969 | 2008-10-30 11:46 | 日記

トレッドソン邸へ

吉村さんは1908年生まれ、今年で生誕100年を数える。トレッドソン邸は1931年竣工である。レーモンドさん初期の週末住宅であって、吉村が最初に担当した作品と言われている。また吉村の処女作とも。60年ほど以前の「建築」誌アントニンレーモンド木造建築特集にはトレッドソン邸について「当時吉村がレーモンドのために残した業績は大きい。日本建築の理解者と実践者とが協働作品を残した最初のものといえる」とある。が、トレッドソン邸が1931年に竣工しているところから言えば当時吉村は23歳、なんと若い協働者であろうか。23歳の折に竣工しているのであるから設計は二十歳そこそこであろう。
そのトレッドソン邸は今も健在であった。週末見学が叶った。丁度還暦、77年を経て、庇のないこの家が比較的湿度の高いであろう日光の杉林と苔の中で健全に保たれていることに心から驚いた。到底80年をまもなく迎えるとは思えぬ状態の良さである。所有は数回にわたり変転、しかしそのどの方も丁寧にこれを維持したのだろう。ほぼ原型のままであり室内は快適である。外壁は幅広のドイツ下見板、勾配のゆるい屋根、ライトの影響を感じさせる室内、窓割り。ここでは若き吉村は「建築」誌がいう日本建築の実践者という役割よりレーモンドの元でライト、そしてそれとつながるヨーロッパの住宅の系譜をスタディした、トレッドソン邸はその結果としての習作なのであろう。ただし引き戸によって個室が連続するプラン、比較的大きい開口部など吉村の意向があちこちに見られ、床下換気口に冬のための蓋があること、引き違い窓の固定とエアタイトためのディテールなどは彼の独自の工夫なのではないかとおもう。なんと早熟な建築家であろうか。
土地の所有が輪王寺であって変転しないことがこのように長く使い続けていることの一つの前提であるのかも知れぬ。が、長く慈しみ、手入れし使うことを習慣とする欧米の人を所有者としたこともあるのだろう。だが、われわれが短期に使い捨てる習慣を持ったのもそう遠いことではないはずではないか。
1930年のころは確か聴竹居、ドーモディナミカ、土浦亀城邸などが竣工した時期である。良き時間が少しだけ存在した大正デモクラシーの開花したころである。
楽しい時間であった。
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by noz1969 | 2008-10-25 19:52 | 日記

Volkmar Pamer講演会

この春、ウイーンに行った折知り合ったウイーン市のアーバンデザイナーVolkmar Pamerさん(ウィーン市・建築家)が休暇をとり奥さんとともに来日している。これを機会に小さな集まりであったが講演会が企画された。Pamerさんはケーブル工場の跡地での参加型都市づくりを実際に指揮したひと。極めて興味深い話を聞くことができた。ウイーンで同行した笹川さんはこのプロジェクトを紹介する記事をを書かれた方。彼の紹介でお目にかかったのであった。
催しは以下のようなものであったが数人の方々が私の出したご案内により駆けつけてくれていた。参加型の再開発手法、社会住宅の供給の仕組み、住宅所有の形、デベロッパーの相違、様々な誘導手法、コンペ、何もかもがこの国と違う。何より都市開発が「共」にゆだねられている。そして行政が極めてよく働くのである。Pamerさんがウイーン市の建築家であることから制度と役割に通じていてはなしが具体的でありわかりやすい。住都公団の人も含め参加者はこの情報化時代の中の割りにとんちんかんな質問をしていた。

近く何らかのまとめができるのではないかと思う。

テーマ:ウィーン市の工場跡地における住民参加による社会住宅を含むま ちづくり
報告者:Volkmar Pamer氏(ウィーン市・建築家)

 ウィーンは第一次世界大戦後、世界初の社会住宅と言われるKarl-Marx-Hof以来の社会
住宅の伝統がある。近年は社会住宅の質が高まり、他のヨーロッパ諸国のような社会住宅
団地のスラム化問題を起こさない住宅事業が実施されている。ウィーン市当局の指導の下
で住民参加により実施された市内工場跡地の再開発について報告いただく。このプロジェ
クトは国際的に注目されていて、建築家Pamer氏は欧州各地や中国でも講演を行ってい
る。また、本プロジェクト以外の社会住宅政策全般についても合わせて紹介していただく。
by noz1969 | 2008-10-22 15:50 | 日記

JIA仙台

週末仙台でJIA大会。環境建築賞のシンポジウムがあり仙台へ。個人的所用と重ねたことにより前日松島に投宿する。部屋の眼前は森と島と穏やかな海、それ以外は何もない。豊かな景観である。久しぶりの休息であった。ただ宿の至れり尽くせりが気になる。建物のデザインも「至れり尽くせり」なのだ。旅館の建築も商業建築であるから、とは思うがもっと「素の建築」「本格的な建築」がいい。天橋立の「文殊荘」は簡素ではあるが日本の建築の本道を行くものである。言うまでもないが吉村順三の設計である。今日の商業建築としての旅館建築の「和風の改竄」は客の好みといってしまえばそれまでだが気になる。マンションという名のこの国の集合住宅にもまったく同じことが言える。極端な例だが葬祭場の表面上の華美にも驚かされる。もちろん工業化住宅の意匠もそうだ。たしかにこれを喜ぶ客がいるのだがそれだけであろうか、これしかないからこれに甘んじているのかも知れぬ。これほど豊かな国の顧客、「客の責任」とでも言うべきものがあるのだろう。顧客が学びそれなりの高みを引き受けることがそろそろ問われるのではないか。公共建築の設計などの機会にもそれを思う。市民の意思を代行する人々、代議員、行政職員がこうした自覚から遠いことがあるのだ。

環境建築賞のシンポジウムは受賞者のほぼ全員が受賞作品についてプレゼンテーションをしてくれた。東北芸工大の三浦さん、東北大の吉野さんが出席してくれ、コメントを寄せてくれた。極めて好意的なコメントであったが、作品が多岐なテーマを包含ししかもレベルの高いものであったことも事実であったと、当事者ではあるが思う。そしてこれら作品のおおくがクライアントとの協働、またクライアントの挑発によって実現していることに勇気付けられる。高みを、宿題を引き受ける顧客に恵まれたものが多い。先の商業建築、建売住宅の成り立ちと大きく異なるのだ。建築はクライアントの作るものでもある。もちろん建築家は決してクライアントをなめてはいけない。マーケットリサーチによる建築にはそれがあるのではないか、「こんなもんだよ、すごいだろ」というにおいである。当事者はできる限りの高みを知りそれを提案すべきであろう。
刺激の大きくあるイベントであった。
by noz1969 | 2008-10-19 18:20 | 日記

世界の測量

原題もDIE VERMESSUNG DER WELT、そのとおりである。これでは少しも食指が動かない。が、サブタイトルに「ガウスとフンボルトの物語」とある。そのうえ「腰巻き」にハリーポッター、ダヴィンチコードを抑え「世界のベストセラー」第二位(2006)とある。これは面白そうだ。ダニエルケールマン著、瀬川裕司訳、三修社刊、連休一気に読了した。
話は1828年、ベルリンでの会議でガウスとフンボルトが会うところから。章ごとに交互にそこにいたるまでの話がほぼ平行し交わることなく進むのである。一人は南米大陸をさまよい、もう一人は紙と鉛筆の世界をさまよう。19世紀初頭のドイツの話である、ゲーテ、シラー、ウエーバー、がそしてプーシキンが脇に登場する。もちろん創作であるが、史実と作り話が渾然。実に面白い。作者が2世紀を超える過去の時間について二人を軸にこんな話を紡ぎだす、そのことの面白さに一気に読む。作者の資料収集も並大抵ではない。19世紀という時間へは私自身の興味もいささかある。未開を切り開いた時代への一種の憧憬はここに端的に現れている。ぜひ。
by noz1969 | 2008-10-13 22:16 | 本・DVD

えほんの丘の自然観察会

10月18日、19日にえほんの丘の自然観察会が行われます。

『えほんの丘』はいわむらかずお絵本の丘美術館周辺にひろがる里山のフィールドです。ここには、絵本の中に登場する動物や昆虫たちがたくさん暮らしています。
自然の恵みが彩りを添えてくれる美しい秋に、いわむらかずおさんや研究者、仲間のみなさんといっしょに、この豊かな里の自然に暮らす生き物たちと出会う観察会を行います。
今回は、講師の方として動物カメラマンの宮崎学さんをお迎えし、フクロウとムササビを観察します。

参加費:小人1,500円 大人2,500円
■19日の交流会、いわむらかずお絵本の丘美術館入館料を含みます。
■会場までの交通費、宿泊費、10/18の夕食、10/19の朝食等は含まれません。
■参加希望の方はいわむらかずお美術館までお問い合わせください。
■会場 いわむらかずお絵本の丘美術館/えほんの丘フィールド
〒324-0611 栃木県那須那珂川町小砂3097 
電話0287-92-5514  FAX042-344-0347
いわむらかずお絵本の丘美術館
■JR宇都宮線氏家駅から東野バス馬頭行き「小川車庫前」下車、小川車庫前からタクシーで10分
JR烏山線烏山駅からJR馬頭行き「小口」下車、小口からタクシーで10分
東北自動車道矢板インターチェンジより50分 常磐自動車道那珂インターチェンジより60分

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by noz1969 | 2008-10-08 11:07 | 野沢正光建築工房

ムサビM1

昨夕ムサビでM1、私が出題した短期課題の講評をする。夏休みを使ったエッセイのような課題であったが、器官、とか機関とか判じ物のような語句の並ぶものであり、学生は戸惑っていた。建築は機関を持つ器官でもある??器官と機関を考える、??要は支える「仕掛け」と支えられる「全体」を考え「仕掛け」を駆動するソース、資源を考えるというものである。結果は入り口に辿り着いて中へ一歩、歩いた、というものであったが、それはそれとして面白かった。面白そうに思索をめぐらした学生が多くいた印象でもあった。ただ,慣れない思索はなかなか歩を運べない。でも一歩は前へ進んだはず。
by noz1969 | 2008-10-04 12:49 | 日記

坂本一成 建築展

篠原さんの設計、東京工業大学百年記念館で今日から「坂本一成 建築展 日常の詩学」が開催される。昨夕内覧会とオープニングのレセプションがあった。2004年からヨーロッパを巡回した展示そしてギャラ間での展示資料を中心に新たなプロジェクトを追加、展示している。坂本さんの話でギャラ間の天井が2,4メートル、ミュンヘンで5メートルであったことがスクリーンのサイズを決めているとのことであったが大きな写真が実に効果的である。これを機にミュンヘンのカタログが邦訳され補強され新建築社から刊行された。展覧会そしてこの出版、ともに充実した内容である。
by noz1969 | 2008-10-02 10:45 | 日記