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十二夜

ここのところお楽しみが続く。半ばの連休に観た映画「魔笛」に続き、この週末は蜷川さんの「十二夜」の鑑賞である。久しぶりの歌舞伎座である。満員。ニナガワ歌舞伎の真骨頂、満場笑いの渦。役者も乗っている。役にはまって楽しそうである。男と女の入れ替わりの複雑さ。菊之助の二役。舞台は鏡、そこにウイリアムバード風のチェンバロの響。後ろにホモセクシュアルのにおい。フィクションの面白さを満喫した。希少なチケットが手に入ったおかげである。シェークスピアと歌舞伎全盛の時はどうだろう?シェイクスピアと近松はいくつ違いであったのだろうか?南北は?など考える。そして不思議な共通を思う。こんなに巧みにシニカルにユーモラスに人を描ききる近代の戯作は日英に限らずあちこちにあるのであろうか。ここから先、お楽しみの予定はしばらくないがアンテナを鋭くして機会を増やそう。(野沢)
by noz1969 | 2007-07-23 16:38 | 本・DVD

国大 デザインスタジオ3講評

三年の第二課題は三人のグループによる製作。集合住宅と仕事場を計画するというものである。20ほどのグループ全員の講評で今期の終了。講評にはYGSA北山恒教授モ参加、例により長丁場。国大の学生は基本的に議論、意見の交換ができている。チームによる課題の取り組みは建築設計の現場に近い。その意味で実りの多い課題と考えている。成果はあった。ただし当然堂々巡り、走りすぎ、もある。これも動きが取れないで停滞する、よりずっといいだろう。今回ぼんやり感じたのは彼等が選択した「仕事」が偏っていることと、仕事についてのリアリティが薄いということ。つまり社会に対しての興味と批評が乏しいのか、ということだ。とても甘い仕事の理解か現状の制度に沿った追認形のプログラムであったりするのだ。建築が社会との綱引きでできること、こんな話が講評終了後のビールの席で、各講師から出た。(野沢)
by noz1969 | 2007-07-22 09:27 | 野沢正光建築工房

魔笛

ケネスブラナの映画。「魔笛」を観た。第一次大戦に舞台を移し、モーツアルトを。はたして?と思いながら連休に託け出向く。楽しかった。オペラはほとんど原作に沿ってそのまま忠実に進行する。ちゃんと二時間かかる。序曲から広大な丘に張り巡らされた塹壕をなめるように俯瞰、その後もザウストロの城やら、大群やら、なんと言っても最近の映画のCGの精度に驚く。英語である。これがなんとも不思議な風情。モーツアルトがミュージカルに聞こえる。残念ながら?数年前から私の映画鑑賞は1000円である。機会を増やそう。(野沢)
by noz1969 | 2007-07-22 09:25 | 本・DVD

本の記憶3 名久井文明著「九十歳岩泉市太郎翁の技術」一芦舎刊

大分以前のことだが、確か新宿紀伊国屋で地方の出版物の小特集コーナーで見かけ購入したもの。名久井文明著「九十歳岩泉市太郎翁の技術」一芦舎刊である。
北上山地に住む岩泉市太郎翁の持ち物総量検査、言ってみればそういうもの。岩手大学の学生それから名久井さんの奥さんを動員して驚くほどの調査の結果である。岩泉市太郎翁は木挽であり、杣(ソマ)である。農業から炭焼きなど日常の生活のすべてを自らが行う。ここにわれわれは驚く。日常のすべてにかかる道具が彼のものであり、可能であればそのほとんどは彼の自作である。たとえば鍛冶屋に依頼し購入した刃物、この柄は彼の自作だ。何よりこれほどの道具を駆使しての生活がごく最近までのわれわれの営みであったことに驚く。貨幣のほとんど不要な社会の姿でもある。
目次を転載する。すべてのページに道具の実測図と由来、写真が載る。
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目 次
 ●北部北上山地を彩る縄文文化の残照
 Ⅰ雑穀栽培の伝統
 Ⅱ北部北上山地の山村「瑞神」一着泉市太郎翁との出合い
 Ⅲ種子食の伝統
  ・1瑞神における種子食-シダミの処理工程
  ・2縄文時代と現代をつなぐキーワード「乾燥脱穀法」
 Ⅳ樹皮加工の伝統
 V植物性素材による編組技術の伝統
 VI北部北上山地に伝えられた伝統的諸技術の「もの」による記録
 
 ●岩泉市太郎翁年譜
 ●岩泉市太郎翁の造形技術
 Ⅰ柵・木挽きの仕事
 1 柵の仕事一枚木4,000丁造材の現場から
  ・(1)岩手県下閉伊郡安家村高須賀葡萄山まで
  ・(2)一日の生活
  ・(3)物資の購入-「仕送り」のこと′
  ・(4)柚の賃金の算出方法
 2 木挽きの仕事
  ・(1)「伊藤萬兵エ様の挽材のひかえ」から
  ・(2)木挽きの賃金の算出方法
 3 棚・木挽きの造兵の種類と運搬方法*
  ・(1)柚の道具
  ・(2)木挽きの道具
 4 伐採から製材までの手順*
  ・(1)木を伐り倒す
  ・(2)枝を落とす
  ・〈3〉長さを決める 
  ・(4)墨を打つ
  ・(5)大どころを削り落とす
  ・(6)仕上げる
 5 鋸の柄の付け方*・
 6 鋸の日立て、鋸直し、刃焼き*
 Ⅱ木工
 1 山村生活における自給的木工技術
 2 大工道具
 Ⅲ樹皮加工
 1 樹皮縄について
 2 背中当ての製作
 3 蓑の製作
 4 こだしの製作
 Ⅳ藁加工
 1 つまごの製作
 2 わらじの製作
 3 じょうりの製作
 ●岩泉市太郎翁の生産技術
 Ⅰ製炭
 1 製炭の仕事
 2 製炭の仕事にかかわる用具
 Ⅱ薪(たきぎ)取り
 1 薪取りの仕事
 2 薪取りの用具
 Ⅲ牛の飼育
 1 山村生活と牛
 2 牛の飼育にかかわる用具
 Ⅳ農耕
 1 雑穀の栽培
 2 農耕にかかわる用具
  ・(1) 肥料運搬 
  ・(2) 耕耘・畝たて
  ・(3) 植え付け
  ・(4) 除草
  ・(5) 穂から穀粒をはずす
  ・(6) 大小のごみを除く
  ・(7) 計量
  ・(8) 貯蔵・
  ・(9) 火力乾燥・
  ・(10) 穀粒から皮を除く・製粉
 ●その他
 Ⅰ食品の加工・食事にかかわる用具
 1 豆腐作り
 2 味噌作り
 3 餅を舂く
 4 調理・食事
 Ⅱその他
 1 住
 2 養蚕
 3 衣
 4 娯楽
 実測図の監修を終えて
 おわりに
 付編1「樹木の用途―木の名前と使用調べ」岩泉市太郎翁筆記
 付編2「山根、宇部地方の盆踊り唄」岩泉市太郎翁筆録・採録
 引用・参考文献
 索引
by noz1969 | 2007-07-17 11:58 | 本・DVD

配筋拝見

甲府の配筋検査である。雨中の現場。きわめて良好な地質である。地質というより石質、遠い以前河川敷であったと思われるところ。基礎は布基礎形式のもので、鉄筋量の軽減を考える。ニ三の指摘をするが、瑣末なことのみ。
終了後大工の作業場へ。ほぼキザミを終えた唐松を観る。とてもよさそうだ。明らかに杉檜と異なる木目と肌、比重の違い、強度の違いが見て取れる。高温蒸気乾燥で含水率15パーセント。ヤニ壷、狂いの心配もなさそうである。総唐松造は面白いものになるだろう。大工も信頼の置ける人。土間の原寸墨だしを見ながらいくつか打ち合わせる。再考箇所が数箇所。建方についても懇談、「こんな仕事はそうはない」と楽しみにしてくれている。8月のお盆の前に雄姿は現れる。(野沢)
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by noz1969 | 2007-07-17 11:37 | 甲府幼稚園

ムサビ バーチカルレビュー

金曜ムサビの前期講評に立ち会う。
午前10時から夕刻まで二年生から4年生までの全課題の講評。選抜されたもののみとはいえ大変なものであった。ムサビは設計課題のスタジオ化が顕著でテーマの設定にスタジオごとかなりの幅がある。
午前は三年生の作品。建築の設計を正面から取り組んであるスタジオ、メディアに寄って実大の体験的なものなど、この辺がこの学校の特徴か。私の目線では建築がきちんとできているものの評価が高い。午後四年生、多彩な講師の色彩の濃い課題設定と指導が伺える。ここでも集合住宅の課題に好印象を持つ。その後二年生の住宅課題を見る。建築が「複雑な全体」であること、そのことを総体として組み立ててみる試み、そうしたアプローチがこの仕事の面白さであろう。「アイディア一発」「提案単純」なものはなかなか建築に見えない。
レビュー終了後,デルフト大の学生とのWSの成果の発表。その後懇親会。デルフト大との交流、こうしたことを頻発させることは何よりの経験になるだろう。(野沢)
by noz1969 | 2007-07-17 11:37 | 野沢正光建築工房

本の記憶2 デロール

真鍋さんのブログに渋谷の志賀昆虫社のことがあった。確か宮益坂を上りきったところ、「今もあるのか、104歳でなくなられたのか」と何かとても気になる話である。伴って思い出すのが今森光彦さんのこの本であった。「たくさんのふしぎ」はよく知られた福音館の子供向けの月刊誌であり(最近見ていないのだが)大人も欲しいと思うものであった。デロールという剥製顕微鏡などを扱う店の本だ。入り口のショウウインドウを覗くところから店内へまるで店の客になったようにページが進む。、200年前からとのことだ。顧客は誰だったのだろうか?今は当然だが剥製の販売はされていないとかかれていたと記憶するが。往事を想像して不思議な気分になる。19世紀の気分を伝える写真は、引き出しの中の剥製用の眼球群を写していた。とても薄い本である。棚のどこかに隠れているはず。週末にでも探そう。

こんにちはたくさんのふしぎ 
第225号 好奇心の部屋 デロール  ※発行元・弊社ともに完売品切
今森光彦(文・写真)
発行日:2003年12月01日
B5, 40pp. 700円(税込・送料別)
フランスの首都パリの、とある大通りに面したショーウィンドーを見ると、なんとそこにはライオンが!? ここはいったいなんでしょう? その家の中に入ってみると、他にも動物の剥製や昆虫標本、化石や鉱物などがいっぱい! 
このふしぎな場所「デロール」は200年近く前から、訪れた人の好奇心をくすぐり続けてきました。なぜ、こんな場所が生まれたのでしょう? なぜ、デロールは200年も人々の好奇心の対象なのでしょう? さあ、一緒にデロール探検に出発!(対象年齢:小学校3年生から)


デロール DEYROLLEのHP見つけました。とてもすばらしい。是非ご覧ください。
(野沢)
by noz1969 | 2007-07-12 14:18 | 本・DVD

本の記憶1 デビッド マコーレイの絵本

本箱のBUILDING BIG が目に触れた。机上に置き久しぶりに見る。
子供向きのこんな本があることがうらやましい。彼の本はいくつもが岩波書店から翻訳刊行されているが、確かこれは未刊行であろう。ダム、橋、トンネル、超高層ビルなどが確かな調査、彼の独自のイラストレーションで説明される。ワールドトレードセンターがある。フォースブリッジもある。/The Way ThingsWork/ も面白かった。カテドラル、キャッスル、アンダーグラウンド、ピラミッドなどに親しんだが、なんといってもUNBUILDINGが記憶に残る。大分以前の刊行だがエンパイアステートビルディングがアラブの金持ち=王様に買われ、解体されるという筋立てで、この建物を説明するという凝ったストーリー。引き出して見ると、不吉な予言にも見える言葉にぶつかった。王は「ワールドトレードセンターではどうか」との問いに「エンパイアステートビルでなくてはならない。ただしよろしければワールドトレードセンターの二棟も解体してあげましょうか」と答えているのだ。そのうえ物語の最後、帰りの飛行機の中でクライスラービルディングの解体見積書を観ているという念の入れようである。子供向
きとは到底思えぬ。(野沢)
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by noz1969 | 2007-07-11 00:43 | 本・DVD

ハンス ウエゲナー展

新宿に所用。寄り道する。オゾンの三階のホールで小さなウエゲナー展が開かれている。現在製作され販売されているもののほかに旧作数点が展示されているがそれだけ。特に足を運ぶほどの展示ではない。
ただしPPモブラーという家具メーカーが製作しているウエゲナーものの展示を行っている5階ノルディックフォルムの展示はいささか面白い。典型的家具の各パーツが削られる前の形から製品になる手順に沿って展示され一脚分のパーツが貼り付けされた骨格見本のように展示されている。大きな車のついた台にそれらはレイアウトされているから、きっとPPモブラーが用意している定番の展示物なのだろうが、ちょっと見る価値あり。このパネル、もっとあるなら見せて欲しい。(野沢)
by noz1969 | 2007-07-07 20:00 | 本・DVD

甲府にて

民間のきわめて進取にあふれる人々が幼児から学童の英語教育を仕事としている。甲府での事業が新しい展開をすることとなり、新たな施設の建設が計画された。木造平屋の幼稚園である。ローコストを根拠に国産材で新しい木構造を試みる。
栃木での「いわむらかずお絵本の丘美術館」などいくつかの建築では稲山さんとのコラボレーションで伝統的技術を駆使する大工との応答の仕事が続いているが、ここでは稲山さんとの話の中で話題となった130ミリ断熱パネル用のビスで架構することを試みる。開発の目的の異なる製品のいわば流用によるハイブリッドである。耐力試験でその性能はもちろん保証されている。唐松の製材での架構、ビスの耐力が仕口無しのディテールを可能とする。集熱屋根、高い天井などいくつかの断面形をほぼ同形のトラスのバリエーションで作ろうという計画。このジョイントは量産化を目指す住宅に応用可能ではないか。プレカット不要の木造?計画は中庭を持つロの字のプラン、夏季の夜間の高窓による換気蓄冷、冬季の屋根集熱換気システムが快適な環境を作るはずである。お盆の前に上棟の予定。施工は小澤建築工房。
(野沢)
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by noz1969 | 2007-07-06 18:12 | 甲府幼稚園