那須の週末住宅

クライアントへの私信ではあるが今回の週末住宅の解説に

先週末はありがとうございました。良い仕事をさせていただきありがとうございました。薄井さんという大工は本当に日本の大工の鏡、と言う感じです。こうした大工はほかにもいるのだと思いますがなかなかお目にかかりません。たいそうな話ですが私たちは日本の伝統の先に何が出来るのか、と考えてデザインを進めているつもりなのですが、今となってはこの話を面白いと思ってくれる大工がめっきり少なくなりました。みな簡単な仕組みでできる簡単な家ばかりになってきた結果でしょう。もちろんそうした需要も根拠のあることであることもわかるのですが。

今回の建物の木構造、集熱方式などいくつかの面白いところをご説明してみます。
1 大きな交差した梁がクロスに挟み込んで大きい室内を作っています。
2 その勾配が南と北で異なります。これは南の面を太陽熱を集めるのに程よい勾配に しているためです。このため垂木を支える八角形のモヤ材の角度が違います。この辺 が大工の飲み込みのいいところです。大工は原寸図を作り材料を加工します。
3 その上、東と西の屋根も勾配が違います。これは寝室上のスペースとダイニング上 のスペースの違いになって現れています。
4 東と西の半分と南面は庇(ひさし)が1メートル80センチほど出ています。庇下 のスペースは建物を守り、室内を快適にするもうひとつの居間かもしれません。雨の 日にも窓を開けて風を入れることが出来ます。日本の建築の庇が長いのは気候の所為 でしょう。1,8メートルの庇は角でその1,414倍の長さとなります。ここに斜 面に生え根元がすこし湾曲したアテの杉を用い、梁のしたにもぐりこませています。 こうした加工は作業場でいったん仕口(組み合う加工)をして現地で調整するという 手間を要します。大工のうまさが必要です。
5 後ろ側は打ってかわり庇をなくしました。前面と後面で印象が大きく違います。ひ とつは庇も建築費に入るためです。いわば普通の90センチの庇を全部南に回し北は 無しとしたとも考えられるでしょう。ただ風通しなども考え、テラスを室内側に設け ました。安達太良山が見える良い景色が手に入りました。
6 南の開口部は7,2メートルあります。ペアガラス、木製サッシとなっています。 多分この別荘地最大のガラスではないでしょうか。庭の道のそばに生垣または植え込 み、下草などが囲うようにあると庭がもっと良くなると思います。高さは車の屋根ほ どでしょうか、よろしくお願いします。
7 屋根で週熱した暖かくした外の新鮮な空気が室内に循環し不在のときでも部屋を暖 めます。夏は夜間外気を取り入れ、換気が促進されますからかびたり、着いたときに 空気が悪い、と言ったことが無いと思います。夏、冬の切り替えが必要です。工務店 と相談してください。先日のうす曇の時でも棟の温度は50度ほどありました。
これで全部ではありませんが、いったんここまでとします。また時間を作ってメモの続きを書きます。よろしくお願いします。

(野沢)
那須の週末住宅_e0079037_17252440.jpg
那須の週末住宅_e0079037_17255646.jpg

by noz1969 | 2007-03-19 17:07 | 那須の週末住宅
<< ジャン プルーベ 圓山氏が設計した東京未来大学の見学 >>