鈴木博之さんのこと、神奈川県立音楽堂のこと

鈴木博之さんの病没を知ったのは木曜日の夕刻であった。とても驚いた。私のかかわる「住宅遺産トラスト」でも顧問をお引き受けいただいていた。昨年著書「庭師小川治兵衛とその時代」を楽しく読みお元気であるはず、と勝手に思い込んでいた。
難波和彦さんに電話し状況を知った。永きにわたる闘病であったらしい。心から御冥福を祈りたい。
難波さんのブログを久しぶりに見た。そこに 鈴木さんの思い出として 1992年、「神奈川県立音楽堂」風前のともし火という時期、明らかに幕引きの公認を目論む「シンポジウム」の折、壇上の鈴木さんから「幕引き」に異議を唱える鋭いコメントがあったこと、その見識についての記述があった。
私も当日、このシンポジウムの聴衆のひとりであった。鈴木さんのこのコメントがあり「幕引き」は幾分宙吊りになった。その後 私たちは数度、自前のシンポジウムと音楽会をここ「音楽堂」で開き、音楽堂存続の主張とアクションを多くの人々と共有、継続したのであった。音楽堂という建築が多くの人に使われ、多くの人の大事な記憶の一部となっている、そうした事実がこの運動を支えたのだった、と私なりに思い出す。
バブルの崩壊もあり、音楽堂は今もここにある。その最初の一歩、きっかけは鈴木さんの主張にあった。
出来れば ロイヤルフェスティバルホールのように歴史を尊重しつつこの建築が今日的快適性を獲得する、改修が出来ないだろうか、と思う。だが、しかし、一方で 今日のこの国の保存、改修の商業にまみれたいい加減さを見るとむしろ 今はこのままにしておくほうが良いのかも知れぬ、とも思うのである。人々が真剣に歴史を考えオーセンティシィを楽しむ そうした余裕がほしい。そうした時代が早く来ることを望みたい。私が期待する鈴木さんの使命、仕事にそうした活動があったはずである。明治村館長はその証であろう。真に残念である。

音楽堂は近年建築を楽しむシンポジウムと音楽会を開いておられる。保存運動のもうひとりの旗手松隈洋さん、登場である。当時の対応とは隔世の感があるが、このことを真に喜びたい。以下に最新の見学会の案内を添付する。


音楽堂建築見学会vol.6

開館60周年 自由な視点で音楽堂の歴史と建築の魅力を再発見  ミニコンサート付き♪

公演日時: 2014年02月28日(金) 15:00開演 (14:00開場)  

戦後モダニズム建築の祖、前川國男の名建築として知られ、かつては「東洋一の音響」と賞せられた神奈川県立音楽堂の魅力を、「建築」という切り口で再発見する企画です。

今回は、住宅、公共建築、一連のルイ・ヴィトンの店舗など多岐にわたって活躍する横浜市生まれの世界的な建築家、青木淳氏が登場!
前川建築の研究で知られ、DOCOMOMOJapan代表でもある京都工芸繊維大学教授・松隈洋氏とともに、現代建築家の眼で音楽堂の魅力を再発見していただきます。
そして、大好評の「音響体感ミニ・コンサート」には、チェンバロ、ルネサンスハープを自在に奏でる稀有な音楽家、西山まりえさんが登場。
木のホールで、繊細で美しい古楽の響きをご体感ください。
この機会に皆様のご来館をお待ちしております!
by noz1969 | 2014-02-10 11:59 | 日記
<< 和水町立三加和小中学校完成見学会 「建築家大高正人の仕事」刊行しました >>