ドイツ・オーストリア木造建築研修旅行 第3日目

3月23日
MurauにあるKLHパネルをスラブ、大梁として使用した木橋を見る。木のスラブの上に直接アスファルトを150mm敷き、30tの加重に耐えられる。スラブは木だが、構造は鉄骨である。
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続いて2008年に建てられたMurauerビールの工場を見学する。こちらもKLHパネルで組まれ、金物を使わずに壁柱の上に梁を積む組み方である。KLHパネルは倉庫を作るのに適しており、木のために加重が軽く、基礎を小さくすることができる。屋根には250mmの断熱、温水ヒーターのシステムを天吊にしている。開口部は外側ブラインドで日射遮蔽。延べ3000㎡の長方形のプランで耐力壁は長辺方向に外周と内部2枚の4枚。短辺方向は両サイド腰窓の開口部で開放的である。壁でスパンをとばしていることが特長ということだが、レベルの違う梁を柱の上に乗せ、レベル差は別の柱の部材が金物もなく挟まれているなど、地震に対してはやや不安な印象を受ける。ただ金物なしに組んでいく構造は工期も短く、施工も簡単、コストも抑えられて興味深い。
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次に6年前に建てられたMurauのインフォメーションセンターを訪問。ホテル探しの手伝いをしてくれる施設である。国やホテルのオーナーが出資し、運営されている。こちらは傾斜地に建っており、鉄骨と木のハイブリッド構造である。地域によって色彩、植栽の規制(外来種はだめ)があるが、このあたりは特に規制がないそうだ。高台にあり町を臨め、いくつかの教会と山の軸線が通っているように見える。
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Murauで最も大きな木橋をみる。
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スキーリゾート地にある職員寮を見学するため移動。アルプスの山並みが強い日差しに照らされてまぶしく、大変美しい。途中、クラブホテルに立ち寄る。
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目的地の寮はユニット工法で、部屋ごとに(作りつけ家具まで)工場で作られ、積む工法である。階段室はPC造。その他は木造で、階段室との間はRW充填。屋根及び壁はGW。サッシはアルミサッシで日射に対して触るとかなり熱くなっている。この建物はそれほどハイグレードの建物ではないそうだ。
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以上KLHパネルを使った建物を見学し、その後、インスブルックへ移動。木製サッシのメーカー『Freisinger社』 の工場を視察する。枠材は節のない目のつまった良質なモミ(スプルス)を使用。外で含水率20%まで乾燥させ、次に70~80度で人工乾燥(1日~数日)させて13%まで含水率を落とす。工程は乾燥後、節のないところでカット→表面を整える→接合部を加工→一物件ごとに並べて管理→糊付け→機会でサンダーをかける→入隅は人の手でやすり→塗装(水性)。
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気密パッキンは2重が標準。3重にすることも可。アルミクラッドか木表しの2種。コルクをサッシの断熱に使うことがこのメーカーの特色である。外枠にはカラマツを使用。標準のガラスはトリプルで4+16A+4+16A+4でアルゴンガス充填。クリプトンガスは病院では使うが高価なのでこちらではアルゴンが一般的である。通常のペアガラスでは熱損失1.5に対して、ここで作られるサッシは0.7である。ガラスのみの性能では0.5。サッシの価格はおよそ450ユーロ/㎡。
1970年~家具やキッチンを作っていたが20年前よりサッシ専門になり、10年前からパッシブハウス基準で作っている。10年前に初めて作ったサッシの熱損失は0.73、コストのバランスを考えて6~7年前より0.77~0.79で製作している。現状はペアガラスもあるが2~3年でトリプルにしないといけない規制になるだろうとのこと。(藤村)
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by noz1969 | 2010-04-21 15:35 | オーストリア・スイス研修
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